遺産の寄付先は「子供の貧困」に36・0%で最多

遺贈寄付に関する実態調査2021

「配偶者、子、孫がいない人」の5人に1人が全財産または高額寄付の意向

9月13日(月)は、『国際遺贈寄付の日(International Legacy Giving Day)』。「遺贈」による寄付とは、亡くなったときに残った財産の一部(少額も可)、または全部を遺言等によって、社会課題の解決のために使ってもらうよう非営利活動法人などに寄付をすることです。

近年、日本国内でも個人の寄付額が増加しており、一般社団法人日本承継寄付協会の調査でも全体の約6割以上64.0%の方が「寄付」を行ったことがあると回答。自身が残す財産(相続財産)から寄付をすることを考えたことがあると答えたのは17.5%であり50代男性が21%、次いで60代女性が18.6%でした。最も年齢の若い層の男性が遺贈について一番考えているという結果となりました。

また、「配偶者、子、孫がいない人」の5人に1人、相続人が「兄弟姉妹」の方の3人に1人が全財産又は高額寄付を希望されていました。遺贈寄付は少額からできるものでありますが、いわゆるおひとり様の財産の託し先としての遺贈寄付のニーズが高まっているものと感じます。国庫帰属財産や生涯未婚率が年々あがっている中で、今後はますます相続の選択肢としての遺贈寄付が増えていくことが予想されます。

一方で、「遺贈寄付に興味がある」と回答した方の35.7%が遺贈寄付のやり方がわからないと答えています。更に「遺贈寄付をしない」と答えた方で最も多かった理由が「寄付したお金がどのように使われるか不明瞭」となっており、「遺贈寄付」について寄付の方法をサポートするだけでなく、寄付をする方が信頼できる寄付先をしっかり繋いでいく必要があることがわかりました。

<ポイント1> 「遺贈寄付」の断念した理由や準備をしていない理由

Q. あなたが遺贈寄付について考えたとき「断念した理由」や「不安に思うこと」もしくは「まだ準備をしていない」理由は何ですか。お気持ちにあてはまるものを全てお選びください。

 

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「寄付したお金がどのように使われるか不明瞭」32.8%が最たる理由として挙がっています。次いで、「誰に・どこに相談したら良いか分からない」26.8%、「遺贈寄付のやり方がわからない」26.8%となっています。また、「遺贈寄付」に興味を持つ層においては、「遺贈寄付のやり方がわからない」35.7%が最も高くなっており、遺贈寄付の普及には「支援機関の信頼性」と「きめ細やかな支援」が必要であると認識できます。

<ポイント2> 遺贈に関する相談機関の重視点

Q. あなたが「遺贈寄付」を行うことを想定した際に相談機関を利用する場合、どのような事を重視しますか?

あてはまるものをすべてお選びください。

 

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全体では、「支援機関の信頼性」(51.2%)が突出しており、重視点として過半数を超える結果となりました。一方で、全財産を寄付する意向のある層は、「寄付された財産がどのように使われたかを監督してくれること」が26.1%と最も低くなっています。全てを信じて託すという想いが強いことが伺えます。だからこそ信頼できる支援機関を選択するサポートが重要となります。 更に、「遺贈寄付」に興味を持つ層は、他層に比べて、「支援機関の信頼性」(62.7%)、「寄付の手続き完了まできちんとやってくれること」(49.4%)のスコアが高く、相談機関へのニーズが明確化しているといえます。

<ポイント3> 遺贈寄付への理由・動機

Q. 遺贈寄付(ご自身が残す財産の一部を寄付をする)を考えた理由や動機はどのような事になりますか?

下記よりあてはまるものをすべてお教えください。

 

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「相続財産」からの寄付をする理由としては、「何かしら社会貢献をしたいと思っているから」55.1%が突出して高いスコアとなっています。次いで、「子や孫だけに遺す相続ではなく、他にも残す方法を検討したいから」21.6%で2番目に挙り、特に女性60代や100万円以上寄付意向がある方において、相対的に高いことが伺えます。また、「全財産」を寄付する意向がある方においては、「相続するべき人がいないから」という理由が69.6%と突出して高いスコアとなっており、  特に50代男性においても高い傾向が見られます。

<ポイント4>  遺贈寄付の希望団体

Q. あなたが「遺贈寄付」を行うことを想定した際にどのような分野の団体に寄付をしたいですか?

あてはまるものをいくつでもお選びください。

 

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「日本の子供の貧困」36.0%が最も高く、次いで「被災地支援」30.0%、「子供の教育支援」29.4%と続いています。また、「全財産」を遺贈寄付する意向がある層は、「環境保護」41.3%が最も希望する団体となっています。

<ポイント5> 保有資産と遺贈寄付意向・金額の関連性

Q. あなたの保有財産(不動産、有価証券を含む)を教えてください。

 

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遺贈寄付の意向がある方については、保有資産額も高くなり寄付金額との関係性が示される結果となりました。また「全財産」を遺贈寄付する意向がある方は、保有資産の構成比が全体と同様の割合となっており保有資産額と遺贈寄付金額の関係性は無い事が伺えます。

<ポイント6> 遺贈寄付の遺言書等の準備状況と必要性の認知度

Q. 遺贈寄付の準備として、あてはまるものをひとつずつお選びください。(お答えはそれぞれ1つ)

 

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遺贈寄付の意向がある方において、【遺言書作成】の必要性を感じている方が約7割います。全体では「遺言書作成」と「遺言書以外の方法」共に、実践している割合は1%程度、約4割が今後手続きの必要性を感じています。また、男性よりも女性の方が必要性を感じていることが伺えます。更に100万円以上の遺贈寄付の意向がある方においては、【遺言書作成】の必要性を感じている方は87.3%となり、そのうち実践している方が6.3%存在しています。

<ポイント7> 法定相続人の種類と寄付金額の関連性について

Q. あなたの現在の法定相続人(財産を相続する人)はどなたになりますか。あてはまる方をお教えください。

 

 

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法定相続人が配偶者/子供/孫ではない方においては、 寄付金額が「100万円以上」8.5%「全財産」14.3%で 足し上げると22.8%となり、約5人に1人が「全財産」または高額寄付を希望しています。 また、法定相続人が「母(義母)」「兄弟姉妹」の方は、遺贈寄付の金額が「100万円以上」「全財産」の割合が全体に対して顕著に高く、特に「兄弟姉妹」が法定相続人の方においては、「100万円以上」18.5%「全財産」17.4%で足し上げると35.9%となっています。※補足参照

全体では、法定相続人は「配偶者」61.5%、「子ども(養子)」58.7%が大多数という結果となっています。

<ポイント8> 遺贈寄付に関する評価

Q. 「遺贈寄付」に対するお気持ちや考えとして、下記の項目それぞれについて、ご自身にあてはまるものをすべてお選びください。

 

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最も評価が高かった内容は 「少額でも遺贈できることが良い」(全体:そう思う(計)54.0%)でした。次いで、「自分がやりたいと思うことを実現できる」46.2%、「環境保全や、貧困問題などの社会問題の解決に寄与できる」46.2%が高く評価された結果となりました。「遺贈寄付」に興味を持つ層からの評価としても、全体の結果と同様に「少額でも遺贈できることが良いに対するが高く評価されています。

***調査概要***

調査名: 遺贈寄付に関する実態調査

調査方法: Web調査

調査地域: 全国

サンプル数: 1,000サンプル

割付: 50代(男女各166人)、60代(男女各167人)、70代(男女各167人)

構成/編集部

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