「遺贈寄付」の認知は70代で80.8%『遺贈寄付に関する実態調査』

調査により「遺贈寄付」の「認知」が広がる一方で、様々な誤解も生じていることも明らかに。認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京都新宿区、理事長湯浅誠)は、2021年度遺贈寄付ウィークにあわせ、全国50-70代男女3000名を対象に、遺贈寄付に関する実態調査とこども食堂の認知調査を行いましたので、その結果を公表します。
調査は、遺贈寄付に関する実態調査と寄付の地域循環(地産地消)の意向について調査することを通じて、遺贈寄付の健全な発展と広がりを目的に実施いたしました。

「遺贈寄付」に関する日本と諸外国の動向

遺贈寄付は、遺言による寄付、相続財産からの寄付、信託による寄付や資産をNPO等に寄付することを言います。

少子高齢化が進み、社会課題が山積する日本において、人生の集大成としての寄付である、遺贈寄付が寄付者本人の望む最適な形で実現し、寄付した財産が地域の未来資産となり世代を超えて継承される社会の実現を目指し、NPOや弁護士・税理士等専門家を中心に、2016年に全国レガシーギフト協会が設立され、その推進がはかられています。

また、国際的には9月13日の「国際遺贈寄付の日(International Legacy Giving Day)」の前後に、英国をはじめ欧米を中心として、全20カ国以上の国で自国の文化や社会的背景に沿った形で、遺贈寄付の啓発キャンペーンが実施しされており、日本も2020年から参加しています。

「遺贈寄付」に関する認知70代は80.9%。遺贈寄付のイメージは、「貢献」「助け合い」「縁遠い」

遺贈寄付に関する認知に関する調査結果で、70代は80.8%ということがわかり、全体では、67.4%という結果になりました。男女差はないものの、年代別に見ると、50代は53.6%、60代は68.5%、70代は80.9%となっており、年齢が上がるごとに、認知も拡大していることがわかりました。

遺贈の認知遺贈の認知

また、遺贈寄付のイメージを聞いたところ、「貢献」のイメージが最も高く28.6%となり、続いて「助け合い」が25.1%、「縁遠い」が17.4%、「裕福な」が15.7%となり、社会貢献のイメージはある一方で、特別な人がすることで、自分には関係がないことという印象もあることがうかがえます。

遺贈寄付のイメージ遺贈寄付のイメージ

「遺贈寄付を通じて、社会の役に立てる」と思うかどうかに関する設問では、全体では、44.2%はそう思う、ややそう思うと回答し、男女では、男性が36.7%、女性が49.3%となり、女性の方がそう思う傾向があることがわかりました。また、地域の子どもの役に立てるかどうかも、ほぼ同様の結果となり、女性の方がそう思っている傾向が高いことが明らかとなりました。

遺贈寄付を通じて社会の役に立てる遺贈寄付を通じて社会の役に立てる

一方で、「遺贈を通じて、自分の想いを未来に実現することができる」という設問では、そう思う、ややそう思うと回答したのは、全体で23.8%という結果となりました。さらに、遺贈したくない理由で最も多かったのは、遺贈は死亡時に残った財産からの寄付にもかかわらず、「今後の生活費が不安だから」という回答で40.4%となり、遺贈寄付の意味や価値への理解を広げていく必要性があることが、読み取れます。
寄付先に重視されるのは「団体の信頼性」「使途の透明性」「活動への共感」

遺贈寄付先で重視されるのは「団体の信頼性」が最も高く57%となっており、続いて「使途の透明性」が38.3%、「活動への共感」28.7%、「公益性」20.1%、「何らかの関わりがある団体」14.3%の順となっており、受遺団体となるNPO等がより社会からの信頼を得ながら活動していく必要性とこれまでのお付き合いを大事にする重要性がうかがえる結果となりました。
さらに、すでに公正証書遺言を作成している人は、「公益性」を重視する傾向があることもわかりました。
こども食堂に関する認知は93%。認知経路は、テレビ85.3%、新聞32.4%、インターネット記事14.9%

こども食堂に関する認知では、名前を聞いたことがあると答えた人が、全体で93%となっており、高い結果となりました。その中でも、50代女性は、60.2%が名前も聞いたことがあり、内容も知っていると回答し、最も認知が進んでいることがわかりました。また、男女では、男性が90.2%、女性が95.8%となり、女性の認知が高い傾向があることがわかりました。

こども食堂の認知こども食堂の認知

さらに、どんなイメージかを聞いたところ、「生活困窮家庭の子どもへの食事支援の場」と回答した人が最も多く全体で67.5%という結果となりました。また、「子どもだけがいくところ」という回答も33.8%となりました。

実際には、8割のこども食堂が誰でも参加できる場として開催され、実際に6割のこども食堂に高齢者も参加しているにもかかわらず(令和2年度 厚生労働科学特別研究事業にておこなわれた「新型コロナウイルス感染症流行下における子ども食堂の運営実態の把握とその効果の検証のための研究」より。)、困窮世帯への支援のイメージが強く、「子どもを中心にした地域みんなの居場所」という理解が広まっていないことがわかりました。

地域活動への参加は50代、60代、70代の順に高く、全体では、48.2%

ここ3年間の地域活動の参加の有無に関しての設問では、全体では、48.2%が地域活動に参加しているという結果になり、男女差は見られないものの、50代36%、60代49.9%、70代59.3%という結果となり、年齢が上がるごとに、地域活動に参加していることがわかりました。

ここ3年の地域活動への参加の有無ここ3年の地域活動への参加の有無

また、ここ3年間の寄付経験については、39%が行ったことがあると回答し、地域活動への参加と同様、男女差は見られないものの、50代30.5%、60代37.8%、70代48.3%という結果となり、年齢が上がるごとに、その経験も高くなることがわかりました。

ここ3年間の寄付やボランティア経験:寄付ここ3年間の寄付やボランティア経験:寄付

地域の未来が「明るい」と回答した人は、全体で2.0%

地域の未来が「明るい」と回答した人は、全体で2.0%という結果となり、「やや明るい」を合わせても17.3%という結果になり、地域の未来の明るさへの不透明さを感じていることがわかりました。地域の未来が「暗い」と感じる人の理由は、「子どもが減っているから」61.4%、「人口が減少しているから」50.5%、「地域のつながりが弱いから」29.5%の順となりました。

地域の未来地域の未来

今後に向けて。遺贈寄付、こども食堂ともに正しい理解の訴求が必要

遺贈寄付は、裕福な人や特別な人だけが行うとではなく、社会をよりよくしたいと考える人が誰でもその思いを実現するために行える社会貢献であり、こども食堂は、「食」に困っている家庭やその子どもが利用するところではなく、「食」を通じながら、子どもを真ん中においた地域みんなの居場所です。その事実を知ってもらうことが、今後の遺贈寄付、こども食堂の健全な広がりのためには、重要なことが明らかとなりました。

調査概要
調査名:遺贈寄付に関する実態調査
調査方法:インターネット(Web)調査
調査地域・世代:全国、50代〜70代の男女
サンプル数:3000サンプル
調査実施期間:2021年8月27日(金)~8月30日(月)
調査協力:遺贈寄付推進機構、全国コミュニティ財団協会、全国レガシーギフト協会
調査会社:インテージ・インテージリサーチ

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