不動産業界における、事故物件とそのガイドラインについて、意識・認知度の調査結果

マークス不動産は、人が亡くなっている物件いわゆる「事故物件」と、2021年10月に国土交通省から発表された「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)についての意識・認知度について、日本全国の20代~70代の不動産業に従事する男女547名を対象に調査を実施致しましたので、その結果を発表しました。

超高齢化により増え続ける孤独死や、人の営みの中で起こる思わぬ事件や事故。それらが発生した事故物件は心理的な問題により忌避される傾向にあり、それは必ずしも一般の方だけの話ではなく、宅地建物取引業者でも同様のことが起こっています。そうした中、2021年10月に国土交通省より発表されたガイドラインを受け、事故物件を扱う宅地建物取引業者のガイドラインの認知度や、意識、対応の実態を把握する目的で本調査の実施に至りました。

Q1.「事故物件に対するイメージを教えてください」と質問したところ、以下の回答となりました。(複数回答/n=547)

55.0%で「安い」がトップに。40.2%が「幽霊が出そう」、32.4%が「運気が下がる」、29.8%が「暗い」、21.0%が「汚い」といったネガティブイメージが多くありました。

Q2.「事故物件を扱うことに抵抗はありますか?」と質問したところ、以下の回答となりました。(単数回答/n=547)

56.7%が「ある」と回答しており、不動産のプロでさえも半数以上は事故物件に抵抗があるという結果となりました。25.0%の「どちらとも言えない」と回答した方は、物件の状況や事故の内容次第というところなのではないかと推測できます。

Q3. 「事故物件を取扱ったことはありますか?」と質問したところ、以下の回答となりました。(複数回答/n=547)

77.5%が「ない」と回答しダントツでトップに。事故物件を取り扱ったことがあると答えた人の内訳として17.7%が「孤独死物件」、11.7%が「自殺物件」、3.1%が「殺人物件」、2.6%が「火災による死亡物件」と回答しています。

Q4.「事故物件を取扱ったことがあるのはどの取引ですか?」と質問したところ、以下の回答となりました。(複数回答/n=123)

 

76.4%が「賃貸」、38.2%が「売買」と回答し、賃貸の方が事故物件の取引が多いようです。

Q5.「2021年10月、国土交通省より”人の死の告知に関するガイドライン”が発表されたのをご存知ですか?」と質問したところ、以下の回答となりました。(単数回答/n=547)

 

不動産従事者でも、44.6%がガイドラインの発表を「知らない」、22.7%が「聞いたことはある」と回答しており、全体としてガイドラインの認知が不動産業界では進んでいないことが分かりました。

Q6. 「事故物件の告知についてどのようにすることが望ましいと思いますか?」と質問したところ、以下の回答となりました。(単数回答/n=547)

60.1%が「丁寧に告知すべき」、30.0%が「必要最低限の情報のみ」と回答している一方で、4.9%が「告知しない」、4.9%が「聞かれたら答える」ことが望ましいと回答しています。

Q7. 「事故物件の売買契約をおこなう場合、どの情報まで告知していますか?(告知する予定ですか?)」と質問したところ、以下の回答となりました。(単数回答/n=547)

50.6%が「死因と場所、発生した時期など詳細」までしっかりと伝えると回答しています。なんと、9.7%が「告知しない」と回答しています。

Q8.Q7で「告知しない」と回答した方以外に、「売買契約を締結する際に告知する方法を教えてください」と質問したところ、以下の回答がありました。(複数回答/n=494)

66.2%が「重要事項説明書に記載」、44.3%が「物件状況報告書に記載」、26.9%が「売買契約書に記載」と回答しており、全体として契約書類にしっかりと告知内容を記載していることが分かりました。

Q9.「事故物件の告知の判断はガイドラインを参考にしますか?」と質問したところ、以下の回答がありました。(単数回答/n=547)

 

 

52.3%が「参考にする」、37.8%が「ある程度参考にする」と回答しており、9.9%は「参考にしない」と回答しています。

総括

不動産業に従事する方のうち、56.7%が事故物件を取り扱うことに抵抗があり、77.5%の方はこれまで事故物件を取り扱ったことが無いという結果となりました。
また、ガイドラインが発表されたことについては、44.6%の方が存在を知らないと回答しており、詳しく知っている人は8.2%にとどまっています。
さらには、事故の内容を「告知しない」「聞かれたら答える」と回答した方が全体の約10%という結果になりました。
事故物件の正常な取引と流通促進のため、今後は不動産業界内での事故物件への抵抗感を下げる動きと、ガイドラインの認知を上げていく動きが必要であると感じました。

調査対象 :20代~70代の男女
調査業種    : 不動産業
調査地域 :全国47都道府県
調査機関 :GMOリサーチ株式会社
集計方法 :インターネット調査
調査期間 :2022年7月27日~7月28日(2日間)
有効回答数:547名
※調査結果は複数回答を求めた内容が含まれています。
※端数処理の為、合計が100%に満たない結果もございます。

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