家族や親族から相続したくない遺産があると答えた人は80%

相続したくないもの第1位は〇〇?

あなたは、「相続」といえば何を思い浮かべますか?

多くの人は「資産(お金)」や「家」など、価値のあるものを受け継ぐプラスのイメージを持っているのではないでしょうか。

中には相続対象となる「財産」ではなく、「遺族同士での揉め事」や「複雑な手続き」「高額な相続税」など、相続の対象となる“もの”とは違ったマイナスのイメージを持つことで、相続放棄を検討している人もいるかもしれません。

また、「〇〇は相続したいけど〇〇だけは要らない」といった具合に、ものによっては相続したくないと考える人もいるでしょう。

そこで株式会社林商会では、「相続したくないもの」と相続放棄に関する情報がどれだけ世間に認知されているかを調査しました。

・全体の80%は「相続したくないものがある」

(N=150名、単一回答。2022年02月18日~02月18日に実施したインターネット調査による)
相続したくないと感じる遺産(財産)がある:120
相続したくないと感じる遺産(財産)はない:30

はじめに「家族や身内の遺産(財産)で相続したくないと感じるものはあるか」を質問したところ、全体の80%にあたる120名が相続したくない遺産(財産)があると回答。

想定していた以上に、相続に対してマイナスのイメージを持つ人が多いことに驚かされます。

それでは、相続したくないものがあると回答した人は「具体的に何を相続したくないと感じているのか」を質問した結果も見てみましょう。

・相続したくないもの1位は「土地・不動産」2位は「借金・負債」

(N=150名、複数回答。2022年02月18日~02月18日に実施したインターネット調査による)
土地・不動産:54名
借金・負債:46名
お墓・仏壇:33名
相続財産すべて:15名
ペット:12名
会社・事業:9名
お金:5名
株式・投資財産:4名
その他:2名

複数回答の質問で調査した結果、最も多くの回答を集めたのは土地・不動産で54名。

二番目に多かった借金・負債46名を上回り、3人に1人以上の人が土地や不動産を相続したくないと回答しており、多くの人にとって土地や不動産を相続することは負債を被るイメージがあるようです。

また3番目に、お墓・仏壇で33名が回答、「相続財産に含まれるものはすべて相続したくない」と回答した人は15名と4番目に多い結果となっています。

それではそれぞれの回答者たちが相続したくないと感じた理由を見てみましょう。

【土地・不動産】
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・立地や建物の状態が悪く、相続しても維持をすることや売却することが難しいと思うので。(30代 女性)
・税金がかかりますし、土地や建物は少なからず手入れやメンテナンスをしなければいけないので手間もかかり大変だからです。(40代 女性)
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土地・不動産を相続したくないと回答した人達の理由では、相続した後の維持にかかる手間や固定資産税など費用面での負担を心配する声が多く見られました。

中には利便性の悪さを理由に相続したくないと回答する人も多く、空き家問題の根源が垣間見える結果となりました。

他には、複数の山を所有している親族がいる場合などでは、「活用方法が分からない」「管理できる自信がない」といった理由も。

不動産は一度手にしてしまうと、手放すのが大変なイメージもあり、相続したくない要因となっているようです。

【借金・負債】
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・いくら親族だからとはいえ借金や負債は、その人自身の責任なので絶対に相続したくない。(20代 女性)
・自分が作ったのではない借金や負債を、自分が代わって返済するということには納得がいかないからです。(40代 男性)
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2番目に多かった借金・負債を相続したくないと回答した人の理由では、「自分で作った借金ではないのに返済義務が生じるのはごめんだ」といった、ごもっともすぎる理由が。

とはいえ、相続とは『様々なものの権利や義務を承継すること』とされています。

そのため、借金や負債の返済“義務”も相続することにより相続人(相続された人)へ承継されてしまいまうのです。

そうはいっても納得できない、と感じる人は相続放棄を検討するとよいかもしれません。

【お墓・仏壇】
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・お墓は手入れや管理が大変だし、自宅からとても遠いので、お墓まで行くだけでも大変だから。(30代 女性)
・キリスト教を信仰しているので偶像礼拝回避したいため、お墓・仏壇の相続はしたくない。(50代 男性)
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3番目に多かったお墓・仏壇を相続したくない人の理由では、「遠方にあるお墓の管理は困難」が最も多く寄せられ、「宗教が違うから」「無宗教だから」といった価値観の多様化からくる理由も見られました。

また中には、以前弊社で行った死後の希望調査において得られた調査結果にも近い「自分の死後、その墓に入るつもりはないから」といった理由も。

昔ながらの菩提寺に建設する墓は、お布施の支払いや定期的なお参り、法事など通わざるを得ない事柄も多く、寄せられた理由全てにおいて、そうした負担を軽減したいと感じている人が多い印象でした。

※プレスリリース「【意外と多い?】自身の死後について考えたことがある人は85%!葬儀や財産についての希望を調査」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000078741.html

【相続財産すべて】
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・当人が死亡していないにもかかわらず、既に親族間で揉め事に発展しているので、これ以上関わり合いたくない。(20代 女性)
・曽祖父が亡くなったとき、祖母の兄弟が相続で揉めて、最終的に兄弟全員と疎遠になったのを聞いているから。(30代 女性)
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相続対象となる財産はすべて相続したくない、の回答者では「揉め事に関わりたくない」という理由が最も多く寄せられていました。

また身近に相続を経験した人がいる人では、親族間で相続をめぐるトラブルを目にしたから、という回答も見られ「相続=揉める」イメージから相続全般を放棄したいと考える人が多いようです。

他に少数ではあるものの「親族とは疎遠だから」という回答も寄せられていました。

【ペット】
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・おじいちゃんが馬、羊、ヤギ、猫、ウサギ、鶏を飼ってます。動物嫌いのと、お世話をするのに自宅から車で1時間ほど離れた場所に行くのは耐え難い。(20代 女性)
・もともと動物は苦手で、自分にもなついていないので、そのペットの世話をしないといけないことは苦痛(40代 男性)
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相続とは少し角度は異なりますが、亡くなった人が飼っていたペットなどの動物も放ってはおけない存在です。

ペットなど動物を相続したくないと回答した人の理由では、「自分は動物が苦手だから」という回答が最も多く寄せられていました。

また身内に家畜を飼っている人がいる場合、家に連れて帰るのは困難なうえ世話をするために通うことも引っ越すことも難しい、という物理的な問題も。

生き物だからこそ、うかつに相続することができないようです。

【会社・事業】
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・会社を続けていける自信は無いので会社を選択した会社を続けるお金は無い事も会社を選択した理由になります。(30代 男性)
・会社を売却するのはそう簡単にはいかないし、維持管理費もかかるので相続はしたくありません。(50代 女性)
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会社や事業を相続したくない人の理由では、相続し継いだところで事業を続けられる自信がないことや、その事業を継がないにしても売却するには手間がかかることが挙げられていました。

また、会社や事業を相続するとなると、そこで働く従業員の生活に対する責任も発生します。

そうした責任の重さも、会社や事業を相続したくない理由になるようです。

【お金】
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・昔から姉と折り合いが悪く、絶縁状態のため。実家で独り身の姉が両親と同居しており、もし両親が亡くなり相続問題が出た時、姉と関わりたくないため。(40代 女性)
・お金を残すと残された家族同士で言い争いになるのが目に見えているから。(20代 女性)
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相続したくないもので「お金」を選択した人の理由では、「財産すべて相続したくない」の回答者と同じく、親族間での揉め事やトラブルを避けるため、といった理由が目立ちました。

昔から「金の切れ目が縁の切れ目」というように、お金に関する揉め事は激化し絶縁問題にもなり得ます。

そのため、「自分さえ放棄すれば…」との思いからお金を相続しないことを選択する人も多いようです。

【株式・投資財産】
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・持っていても使い道や運用の仕方が分からないし、どのように活用していけば良いかも分からないため労力がかかり疲れてしまうため嫌だと感じました。(20代 男性)
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最後に、株式などの投資財産を相続したくないと回答した人の理由です。

そもそも運用方法や活用の仕方が不明なため、相続したところで意味がない、というもの。

たしかに、上手く運用/活用できなかったせいで価値を増すどころかマイナスにしてしまっては意味がありません。

とはいえ、すぐに売れば良いというものではなく、知識がなければそうした判断すらも難しいところ。

様々な「相続したくないもの」とその理由についてご紹介しましたが、相続を回避するための手段として『相続放棄』という制度があります。

しかしこの相続放棄という制度、「〇〇だけ要らない」と特定の物だけ相続を放棄できたり、自信の判断のみで申請できるものではありません。

そこで、相続放棄についてどの程度認知されているのかも調査しました。

・「知っていましたか?」相続や相続放棄に対する認知度調査

(N=150名、単一回答。2022年02月18日~02月18日に実施したインターネット調査による)

はじめに、「借金や負債も相続の対象となることを知っていましたか?」という質問に対する回答では、「はい(知っていた)」が129名で全体の86%を占め、必ずしも「相続=プラス」ではないことの認知度は意外にも高いようです。

次に、「借金や負債を相続しないためには、全ての財産の相続を放棄する必要があることを知っていましたか?」の質問に対しては「はい(知っていた)」と回答した人の数は少し減り、110名で全体の73%に認知されていたことがわかります。

最後に、「相続放棄を選択した場合、申請には期限があり3カ月しか猶予がないことを知っていましたか?」の質問では、「はい(知っていた)」と回答した人の数はぐっと減り、55名で全体の36%にしか認知されていないことがわかりました。

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・実際に、経験した手続きに3ヶ月しか猶予がないなんて知りませんでした。誰に、どこに相談すればよいか不安になると思います。(40代 女性)
・相続経験などはないが、相続を放棄すると借金なども相続に含まれるなんて初めて知ったし、放棄しないと行けないなんて思ってたイメージが違った(20代 女性)
・手続きが面倒だとしても、やるべきことだと思う。ただ、猶予3か月というのは短すぎる。(30代 男性)
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このように、相続放棄の手続きに期限があったことに驚いた回答が多く寄せられ、中には相続放棄の経験があるにも関わらず「知らなかった」という声も。

そこで、この質問を通した終活に対するイメージや、意見を聞いて見たところ下記のような回答が。
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・非常に面倒。素人だけでできるのか、たぶんできないだろうなと、弁護士か何かを雇わないと出来なさそうと思っています
(40代 女性)
・三ヶ月しかないという事で早目の手続きが大切だと思ったし早目に動く事の大切さを学びました。(30代 男性)
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相続放棄の手続きには複雑なものが多く、法が絡むこともあって素人だけで進めることは困難だといわれています。

また、間違った認識のまま手続きを進めたことで、申請が棄却されてしまうことも珍しくありません。

実際に相続放棄を経験したという人の中には、「戸籍を集めたり、親族間で意見をまとめることに時間と手間がかかった」「期限が短いために希望通りにはいかなかった」などの苦労した経験談も多く、手続きを自ら進めることの難しさが伺える回答も。

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・難しいことは分からないので司法書士に相談しました。どのようにするのが最もダメージが少ないのかを判断していただき放棄を選択しました。書類の書き方なども詳しく教えてもらい大変助かりました。(50代 男性)
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この回答者のように、司法書士や弁護士など法の専門家に相談することで、どのように進めることが自身にとって最適か、正しい知識と経験によるアドバイスを得ることでスムーズに手続きを進めることができるかもしれません。

調査期間:2022年02月18日~02月18日
アンケート回答人数:150名
アンケート対象者:20代以上の男女

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